
◆通常デザインラフ
全身画…! イメージカラーも添えて下さっています。
◆立ち絵ラフ(枠外クリックで閉じます)


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◆人物像について
記者根性、野次馬、悪党、善人ではない、彼女が自分を評価する際の言葉です。英は美華のそういうところにちゃんと気付いていて、「哀しい顔の半分は嘘」だと書いています。結果的に良い方向へ導くこともありますが、宗雪とは違って、首を突っ込みたいから突っ込んでいるだけの自由な子。此処で悲しい顔してないと駄目かな、というときには悲しい顔をして見せているような。というのも、美華は単身集落へ乗り込んできて、まだあまり感情が出せない段階にいるというか。その殻を破ったのが英や宗雪なのかもしれないけれど、美華はまだピンと来てないみたい。 とにかく「こういう女の子が好き」という一心で書いたキャラクター。シニカルチックで澄ましている女の子とても可愛いです。一番好きな台詞は「そんなバケツみたいなヨーグルト食べてる時間ある?」 ◆エンディングについて 【ヘクソカズラ】美華が尚孝を選ぶことはストーリー上で必然的だと思っているので、彼とのエンディングをノーマルでありトゥルーであるとしました。なのでこれだけ後日談がくっついています。出来るだけ手の掛かるひとが好き、と作中で書きましたが、既に想い人の居る宗雪と時を同じくして出て来た手の掛かるひとでした。08月19日、宗雪に対し「案外普通でがっかり」なんて失礼なことを考えていますけれども、此処がターニングポイントです。よりとんちきな方が気に入って鞍替えした、ということです…。こう書くとあんまり印象が良くないですが、美華の性格上、こういう悪い考えもするんじゃないかな。なんだかんだ調子の合ったふたりなのではないかと。あと並ぶと絵面がとてつもなく可愛い。 【蓮華】美華がなぜ壇蛇羅集落へ戻る運命になったのか、について答えを書いたようなエンディングです。ふたりの魂の関係性については完結作の「猿喰キッド」で詳らかに。 一ヶ月関わってきた感想が「しょうもない男」というのが美華らしくて良いかなとか勝手に思ってます。彼女はそこらへんの花を適当に毟って持ってくるようなしょうもない奴が好きです。家事も仕事も碌にせず、相撲中継見ながら寝転がってそうなだらしない男を世話したいようです。結局このひとのことはボロクソに言ってても好きなのだと思います。 告白されてるのに別人の話し始めるのかなり男っぷり低いと思うのですが、そういうところが以下略。言ってることも要約したら「今すぐはちょっと結論出せねーわすまん」ですからね…そういうところが以下略。もう何やってもそういうところが好きなのよね、ってなる不思議。 個人的なことですが、宗雪にだけ思い通りのことが出来てない美華を見てるのもとても好きだからこの二人がうまくいくと嬉しいと思う自分と、小町との絶対崩せない関係性の牙城をいつまでも大切にして欲しいと思う自分が居て、このエンディングを眺めていると非常に不思議な気分になります。脳がパニックを起こします(?)。 【木槿】弓弦とは兄妹(家族)愛なのか恋愛感情なのか、そういう区別はあまりない関係性なのかなと(寧ろ区別しない方が美華らしいと思う)。文句はない、と言っているのは、手の掛かるひとが好きだからです。世話役をやることで自分を求めてくれる相手が出来た、という感じ。なので自分が不必要なのでは? と思うことが不安になっている。でもたぶんこの一ヶ月後には髪の引っ張り合い本当にしてそうです。これは暗い終わりじゃなくて、むしろ明るいというか、ふたりがなくしたと思っていた幼少期の関係を取り戻しつつある希望でもあると思います。そのうち再び周りとも関わるようになって、楽しくなりそうです。もしかするとこのEDの美華は五十鈴と成り代わったことを嬉しく思っているかも。性格の悪いようなことは言いたくないようですが、本音を言うと最終的にそこへ到達したいとは思ってそう。 【茉莉花】一番到達が難しいかな、という設定のエンディング。この難易度は隠しとかの意図ではなく「美華にとって求めている理想像から掛け離れてるのでこれくらい段階踏まないと無理だろう」というやつです。自分で自分の世話を出来るひとはちょっと食指が動かないようです。彼が誰よりも自分に優しくて、腹を割って話せる相手だと判っているのですが…。でもルートに入るとそれが勘違いだった、というのが本人の中で判ってくるというか。このひと私がいないと駄目なんだ、というのが。なので見直したわ、なんて言ってます。採用! これから英が妙なところを見せれば見せるほど美華は気に入ると思います。自己開示して好転したことなんてそれまでの人生で無さそうだし、もう英は美華から抜け出せないような気がします。奴隷頑張れ。 この話は、両親を(自分が一因で)亡くしてポッカリ心に穴の空いた美華が、自分を求めてくれる相手を探して集落を彷徨う物語とも言えそうですね。ジュヨーとキョーキューの尊とも相性が良さそう。親友として尊のお世話をする未来でも悪くない気がする。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます)
お隣さんは、悪魔に取り憑かれていた。少女は耳を塞ぐ。今日も儀式が始まるようだ。大きな音。大きな声。罵声。嘲笑。朝でも夜でも構わない。具合の悪くなりそうなラジオやテレビの音。ポップス(平井堅)、ガムラン、何かの車のCM。物音。悪魔がいつ騒ぎ出すか判らなかったので、少女は友達を家に呼ぶことも出来なかった。前を通っただけで騒ぎ立てるので、裏口からコッソリ外出することも増えた。獰猛な犬を避けるように。包丁を持ったひとから逃げるように。 ふと、彼の家の窓を覗いてみる。ビリビリに破れたカーテン。薙ぎ倒された図鑑。積み上げられたゴミ。革命家の絵、絵、絵。手を伸ばせば届きそうだった。でも、そんなことをする意味はないと思い、手を引っ込める。 彼は自作のパンをくれた。不味い。とにかく不味い。食べない方がいい。煮炊きをしてうちの塀を焦がした。立て掛けられた自転車は天を仰いでいる。喫茶店に車で突っ込み、少女の命令だと嘘を言う。警察は会いに来て、「貴方は無関係だと判っていますが、一応」だって。 でもまあ、よくよく見れば、彼は好きな俳優に少し似ていた。ほんの少しだけれど。 疑問。少女は単純に疑問を抱いた。彼はなぜ悪魔に取り憑かれてしまったのか? 少女はそれを知るべく一冊の本を開いた。すると少女も取り憑かれてしまったのだが、これではいけないと抵抗した(彼女は前髪を揃え、そしてワンピースを着た)。 少女は旅に出ることに決めた。何か、彼を助ける方法があるかもしれないと思ったからだ。ある日、家から一通の便りが届いた。 「お隣さん、亡くなったみたい」 (「田園掌編」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
アルゴンにとってのイヴのような、グレッツェンのような、グラディーヴァのような。彼が美華に対して抱いた印象です。火星(Mars)はマルス、別名グラディウスから名付けられたようですが、GradivaはGradivusから取った名前だそうです。火星の寺院についての情報は引き続き募集しています。これはわりと本気です。写真十年間探しているのですが見当たりません。 アルゴンは安部公房の作品「魔法のチョーク」に出て来る人物で、部屋の中で描いた絵が本物として現れるけど、太陽光に当たると消えてしまうチョークを持つ画家の主人公です。アルゴン君が描いたミスニッポンの女性(イブ)は部屋の壁を打ち壊し、彼女も描いたものもすべて光の下に消えてしまう。 冷吉という少年が読んだ本の中に出て来た、赤い鳥を逃がす哀しい女性。彼はこの女性グレツチエンに恋をしていたけれど、入院先でもその女性のことを空想してしまう。いつしか隣の部屋に入院している女性をグレツチエンのように思い始め、懸想し、鳥の色が知りたくなる。鳥は赤ではなく、彼女はグレツチエンではないと思うようにしたかったけれど、ある日バルコニーに出たとき、初めて彼女と会話を交わすことが出来た。しかし翌日、彼女は冷吉の知らない間に退院し、どんなに願っても二度とその姿を見ることはありませんでした。尚、作品名は「赤い鳥」ですが、作中に出て来る雑誌の『赤い鳥』はこちらの作品を発表した後に三重吉が創刊したもので、始めは『青い鳥』と名付けていたそうです。 そしてグラディーヴァ。フロイトが取り上げたことで有名になったお話のようです。考古学者のハーノルトは女性のレリーフに魅了され、彼女を実在の人物に思い始め、グラディーヴァと名付けます。向かいの家の鳥の声に誘われるようにイタリアへ行き、新婚旅行客に辟易してポンペイへ向かうと、グラディーヴァにそっくりな女性が現れました。彼女は自分をグラディーヴァだと思い古代のことのように話し掛けてくるハーノルトを跳ね除けず、自分のことを知っているような素振りをし、翌日には自身の名前がツォーエだと告げます。彼女は向かいの家に住む幼馴染でした。 彼の発言は、彼の言うように、集落も儀式も関係ないことです。彼自身の問題なので怪奇的な差分はありません。ひとに好かれる体質を持っている宗雪ですが、この夏はそこの均衡が崩れつつあったようです。それを助ける為にやってきたのが美華だった、というのがエンディングにおける彼女の考察。 次回制作予定の完結作に登場する「蟒蛇」を名乗る男と密接な関係があり、また美華が見付けた季刊誌『鵺』を発刊しているのが蟒蛇です。魔法少女ごっこをしている女の子のイラストがありますが、尊が「魔法少女みたい」なんて言っていたことに起因しています。よくよく考えたら魔法少女じゃなかったですが、誌面にピッタリの可愛らしいイラストを描き下ろして頂きました(著作権ごとどうぞとのことでクレジットは外していますが、この場を借りて御礼申し上げます…)。魔法少女じゃないのに。魔法少女じゃないのに! 彼がなりたかったのは魔法少女ではなくロケットを抱えて太陽に突っ込んだアトムのはず。 何の印象もないひとに一目で惹かれるというのは有り得ないと思いますので、気になるの判るよ、と思って頂けるようなひとにしなくてはならないとそれが責務だった気がします。そして、出来るだけレールからズレて歩いてそうな感じを。「救う」ということに躍起になるが余りに、自分でも出来そうな小さなあれこれをどんどん見落としていくような。大それたことがしたいと思ったら、小さな積み重ねをするっていうのは逆に難しい。そのうち何も出来ずに終わっていくのかもしれない。 そういえば、宗雪の好きなものは作中で色々出て来ましたが、何となく好きな食べ(飲み)ものとして決めた「ヨーグルト」「きんつば」「炭酸水」のうちふたつは押し込めませんでした…。炭酸麦茶は飲んでたけど。 ◆ストーリーに関しての色々 宗雪のエンディングは尊エピソードを通りますが、まあ小町ルート通るとただもの目の前でイチャついてるところを見せられるし、選択肢によっては真正面から振られるという悲惨な感じなので、こっちを通らないと完全に負けヒロインですね…。主人公が負けヒロインって新しい。美華も言っているように、恋愛においては大体自分がいなければ丸く収まるということが多過ぎます。小町との関係性を詳らかにしないルートを通るしかないんだ…。 逆に小町ルート通ると判りますけれども、宗雪にとって小町ちゃんは幼少期からずっと大事にしている、嫌われたくない存在です。ほかのひとも大事だけど、恐らく抜きん出て彼女のことは大事なはず。小町がくっ付いてるわけじゃなくて宗雪がくっ付いてるので、もう美華とか英には為す術無し。彼女の達観しているようなところに憧れたのだと思います。しかしながら宗雪が弓弦を嫌っているというのは、このこととはあまり関係ありません。というより気付いてすらないかもしれない。小町が昔と変わったという認識を彼はしていないと思います。宗雪の中で、小町は特に何も変わってないです。 10日と11日の間、また23日と24日の間に不思議な感じで宗雪が出て来ますが、あれは猫に関係なく美華が素で見ている夢のようなものですけれども、それでも影響はあって、彼の言葉はかなり現実に近いものです。26日でもそうですが、此処でも夢の登場人物は共通の夢を見て居るという感じ。美華に聞いてもらいたいことがあったから彼は夢に出て来たのかも。なんというか、やっぱり誰にも言えなかったことを聞いてくれる相手が出来たというのは、彼にとってかなり大きかったでしょうね…。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます)
ある青年は、身の周りでおかしな出来事が起きていることに気付き始めていた。誰かと擦れ違う度に罵倒され(高齢者よりは若者が多い、たまに褒められることもあった)、座っていれば自分を撮るシャッター音が聴こえ(授業中なのに何故こんなことを)、いつも手の上に虫が湧いている(壁に標本のように整然と並んでいることもある)。これはなんだろう、部屋の中をカラスが飛び交っているじゃないか。なのに誰も騒いでいない。 そして風呂場。此処は少し平和だった。ただ、曲が聴こえてくるばかりだったからだ(虫はたまに乗った)。「ミッ×ーマウスマーチ」か「エレクトリカルパレード」がいつも流れていたが、ある日別の曲が流れて来た。絶対聴いたことがあるのに曲名が判らない。なので気になって気になってしょうがないのだった。歌詞さえあれば調べることも出来るのに、それはクラシックの曲だった。歌ってみることも出来ようが、それはなんとなく、恥ずかしい。もはや鼻歌を録音してヤフー知恵袋に投稿するしかないと言うのか。 三日程考えて、そして急に思い付く。「あ〜〜これDA PUMPのやつ〜〜!」DA PUMPのやつだったのである。何万回も言えるLove Youだったのである。DA PUMP クラシック 等で検索してみたら、ちゃんと出て来たのだった。それが「ファランドール」だった。曲名さえ判れば風呂場でモヤモヤすることもなかろう。しかし二度とファランドールが流れることはなかった。 残念に思って浴室から出ると、脱衣所の壁にたくさんの虫が現れる。ワーッと叫ぶ。気が付くと何も居ない。…… 思い通りにはいかないものである。 橋の上は特にうるさい。学校へ続く道だから余計に若者が多いし。ムンクの叫びという絵にとても似ている自分が居ると思った。泣きながら自転車漕いで学校へ。休むとか、そういうのは、青年にとっては負けを意味していた。あと一応、学費払ってるし……という思いもあった。先生もいつも言っている。学費払って来てるのだからと。 ひとつ気付いたが、服や髪が今日はキマってると思う日には、割りと褒める声が降ってきた。これがもし本当の声でないのなら、結局自分の機嫌なのかなあと思う。少しでも自信をなくすとまたいじめる声がするので、出来るだけ格好付けよう。そして高い服を躍起になって買ううちに貯金がなくなるのであった。でもこれくらいの服を買うのは高校生にもなったら普通なんだと。金があったらな。そんなことを思ってしまえば、貧乏、無価値、早く死ねと頭の横から聴こえてくるのだった。不思議なことに好きな子と居るときは変な声がしなかった。 (「田園掌編」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
五十鈴を見てると「お前の笑顔は本当に笑顔なのか…?」と思うけれど、小町に関しては大体本当の笑顔なんじゃないかなと思ったりもします。ただ本来の小町はブロック塀の上に乗ってるときの感じなんでしょうね。だからどっちも本当なんじゃないかなと思います。 この子に関しては「絶対の絶対に良い子であるべき」と思って気を付けて書きました。少なくとも仲間や宗雪に対しては悪いところが何もない子にしたかったです。というのも、彼女を主軸として考えたときに、美華は悪党である構図だったので、そういうお互いにやるせない感があるよう考えていました。 小町にとっての宗雪は大親友であり、幼馴染であり、悪友であり、また「好きなひと」でもあると思います。弓弦の存在は、どっちかというとテレビで見る俳優だったり、もしくは授業中にだけ見ている憧れの教師のような感覚というか。始めは美華に成り代わりたいと思ったけど、長い年月のうちにそういうふうに変化した、というのが現状の小町です。トータルで考えたときに恐らく一番の苦労人なのがこの子…。もしかすると、切っ掛けは弓弦だったかもしれないけど、今は宗雪を支えるために明るく振る舞っているのかもしれません。たとえ五十鈴がいなくなったからといって何が変わるわけでもなかった。 作中で披露したのは「パーラーと私」「田舎モンの加奈子がダセェ車でカレシと事故死した歌」「アル中男がアパート孤独死蛆虫まみれの歌」「今夜の寝床もゴミ袋敷いてアーケード街の歌」「去年の暮れに死んだ妻が引き出しに遺した手紙の歌」「夜のベンチ、或いはジークムントとバベルの塔」ですが、宗雪から着想を得た、というものだけやっぱり毛色が違いますね。たぶんこれが小町にとって最大の愛情表現なんだろうな。幸あれ…。 ◆ストーリーに関しての色々 基本的には美華が考察していたように、宗雪が集めた烏合の衆を裏でくっ付けてた子。尊や尚孝も小町には気安い。英もかなり信頼してる。彼女に関しては問題の現れた切っ掛けに関してを細かく描写していません。というより、何にでも明確な理由があった方が良いとは思わなかったし、積み重ねということも往々にしてあるだろうと思いました。小町の元来の完璧主義的な考え方と、性格を演じている気疲れだったり、将来の不透明さだったり、生活のつまらなさ、大人に対する見下し、達成感への渇望、色々合わさった結果…という感じ…? 「蓮華」では宗雪の背中押すような行為をしてますね。これを小町目線ではどう解釈すれば良いのか自分でも考えあぐねているところがあります。宗雪の一件でもしかしたら「美華に託そう」と心境が変わったのかもしれないし、このエンディングの小町はもともとそこまで入れ込んでなかったのかもしれない。気持ち的には後者であって欲しい…。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます)
「おおめに けいけんちをもらった!」少女はこれが気に食わなかった。自分のところに来たのだから、足並みを揃えて貰わないと困る。たまごで産み直した。 「宿題手伝おうか?」少女はこれが気に食わなかった。たとえ終わらなかったとしても、他人に自分のものを侵食されるのは嫌だった。断った。 「プレゼントあげる!」少女はこれが気に食わなかった。自分が選んだもの以外には興味を持てなかったし、センスが良くないと思った。売った。 「この本面白いから読んで」少女はこれが気に食わなかった。似たような文体の作家がずっと前に居たし。それなら先人のを読む。読んだふりをした。 「これはどういう意味ですか?」少女はこれが気に食わなかった。意味? 意味なんてない。自分が感じたことを書いただけだ。黙った。 あるとき、少女の書いた空想物語を褒める少年が現れた。 「今日親いない」ふうん。人んち泊まるの嫌いだったけど、きみのとこなら良いかもね。 「慰めて」いいよ。 「電話して」いいよ。 「ゲームしたい」いいよ。 「昼ごはんこれでいい?」いいよ。 「録画した映画見る?」うん。 「ごめん今日会えない」いいよ。 「それ後でいい?」うーん、いいよ。 「これ要らない」せっかく選んだのに。 なんだ、やっぱり気に食わない。さよなら。 (「田園掌編」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
英が弾いている曲は「草原情歌」「スカボロフェア」。美華に渡した譜面が「茉莉花」、五十鈴に聞かれたのが「牧羊姑娘」です。会合の際など、宗雪の周りに人間が居るときのBGMもスカボロフェアのアレンジ曲なのですが、これを便宜上「friend」というファイル名にしました。それをひとりで弾いている英…え、えもい…。「草原情歌」も美華が最初に耳にする曲ですが、エンディングの最後でも聴く曲です。最初と最後ではかなり意味合いが違うと思います。また茉莉花の一節を23日に引用しました。「茉莉花を一輪摘みたいけど、花を愛でるひとから怒られるかなあ」というところ。え、えもい…。何だろう、英はさらっと流すギミックが多いので改めて見直すとエモみが凄いですね。後になって思うと一輪どころかですけど。 このひとに関してはエンディングまで見ないとどういう人間かは35%くらいしか判らないと思います。どうして美華が好きになったのか、を宗雪を例に挙げて書きましたが、彼は基本的には「誰かひとり」に愛情を全プッシュするタイプなのだと思います。なのでその誰かひとりを主人だと思ってるわけですね。忠誠心で動いている…と書くと格好良い気もしますが、ただ拗らせてるだけですね。目を醒ますんだ。 それにしても美華に対して即堕ち2コマで笑います。億年童貞さん…。千陽が色々変な呼び方してますが、シークレットタブってちょろめの機能なんですよね。でもどうしてもプライベートブラウジング野郎じゃ語呂が悪すぎた。シークレットタブの語感に魅せられすぎた。悩んだけどこのまま敢行した…。 ◆ストーリーに関しての色々 恐らく英は宗雪が退学したのを顔に出さないでも喜んだと思います。有象無象とスッパリ縁が切れたので、自分が味方であるという態度をかなり刷り込んだと思います。でも実際蓋を開けてみたら、有象無象じゃない身近な人々に色濃く分散されちゃったわけですね。そりゃそうだ。宗雪も簡単に英を裏切るし、もしかすると英よりも千陽と居る時間の方が長いのかもしれません。というのも英はありのままの自分を受け入れて欲しいと思っている一方で、千陽は宗雪に合わせるためだけに自分の趣味でもないことを勉強してるわけなんです。サッカーやりたいと言えば付き合うし。だから千陽を優遇するのも当たり前なんでしょうが、英はもう我が儘を通したくて堪らんのですね。お前本当に二番目か?とこっちが不安になります。だからこそ尊も英のことを「宜しくない」と思うところがあるのだと思います。彼が一番女々しいと言ってたのも英のことです。 そういうところに美華がやってきて、どう見ても宗雪に興味がある態度を取っている。まあ当然焦るのですけど、その子が何故だか自分にも興味を示している。小町もそうですけど、大体自分が跳ね除けたらそれ以上しつこくはされないのでしょうが、美華の場合はメンタルがダイヤモンドなので全然へこたれません。そのうちに、この探究心を一心に自分に受けたいと思うようになります。 本編ではさらっと流しましたが、宗雪が尚孝に「お前はそうかもな」とコメントしてます。尚孝の回想でも少し出て来ましたけど、英は尚孝に対してちょっと黒い気持ちを持ってるわけですね。この夏に関しては、恐らく美華がこの期間に尚孝を構い始めたことに気付いたのだと思います。その上宗雪も尚孝を推しているわけなので、だから「尚孝にも美華にも宗雪にも会いたくない!」と意地になって姿を晦ましてます。そこへ迎えに来てくれたのが他でもない美華で、彼はもう心を決めたのでしょう…。 美華を軸に見てみると、みんな自分のことで手一杯で、美華の心配をしてくれるひとが英しかいない状態です。でも美華は別に英のことは食指が動かないようで、頑張って立てたフラグもロードローラーで更地にされてます。か、かわいそう。「良い人止まり」という言葉が似合い過ぎている。英のエンディングに行かなければ、英は他の時空ではかなり絶望的な状況ですね。その代わり英のエンディングの後5日は寝てなさそう。机に頭突きしてそう。同級生も「やべえ相方もおかしくなった」って思うでしょうね、大丈夫そいつ舞い上がってるだけだ。 彼の言う「何者も!」というのは宗雪も入ってます。というより宗雪のこと言ってるのかも。放り棄てられて落ちこむのは案外宗雪の方かもしれないですね。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます)
起立、礼、再見。音楽集会の歌は中国語歌詞。クラスはウーニェンイーバン。廊下の至るところに福のマーク。壁には大陸の地図。こういう状況だったので、青年は、日本は中国の属国なのだと思っていた。 恐らく地球は幾つかの大国が縄張りを決めている世界で、それはアメリカ、ロシア、中国などがリーダーなのだと思った。その他の国は全部属国だ。それで、日本は中国の傘下に居るから、こうやって中国の勉強ばかりをしているのだと思っていた。 ところが高校に入って驚いた。クラスは一年一組だし、再見なんて言わないし、何処にも福のマークが見当たらなかった。日本は日本で、ほかの何でもなかった。 ふと脳裏に浮かぶのは、黒板の前に用意された椅子でひとり項垂れていた少年だ。何だかかったるそうに、いや……不貞腐れたように座っている少年は、祖母が残留孤児なのだという。それが何なのかはよく判らなかったけど、戦争に関係あるということだけボンヤリと覚えていた。少年には、名前がふたつあった。片方は「向こう」での名前で、片方は日本に来て貰った名前だということだ。 久し振りに母校を尋ねたら、実にクラスの半分が中国の子になっていた。知り合った中国人たちに母校の名前を言うと、母校の教師の名が入った名刺をニコニコして見せて来た。何だか彼らと話していると懐かしい気持ちになってくる。もし今だったら、あの子も不貞腐れたように座らなくても良かったのかもしれない。 (「田園掌編」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
最年少にして古風なモチーフが色々ある。尚孝はストーリーを書く前に「主人公と最終的にくっつく子」というキャラメイクで生まれました。なのでまあ、ノーマルだしトゥルーというのも必然的なのかもしれない。 賽の河原、柱時計、夢の浮橋、この辺りがモチーフになってますね。彼の言う「フラフ」というのはこの地域で端午の節句に掲げる旗のことです。鯉のぼりと同じですね。尚孝の住む部屋には子どものためのものがベビーベッドとモビール、そして五十鈴がくれたぬいぐるみしかないのです。サンタさんが来たこともなければ誕生日プレゼントも貰ったことが無いと思います(祖母からはあったかもしれない)。でもそれを不平に思ったことも一度もない。 もしこの子を悪くするのなら、居ないと聞かされていた母親が汚部屋のタンスから転がり出て来ても良いんじゃないかなとは思ったけど、犯罪は五十鈴に隠しておけないのでこの路線は無しに…いや、そうでなくても尚孝はそんなことしません。本当に…本当だよ。逆に言えばそんなことしない、というのが彼のぶれない性格なのだと思います。 尚孝は地味にフットワークが軽いし物真似も上手だし(?)おとなしくはあるけど、暗い子ではないでしょうね。学校でも普通に過ごしていたと思います。誰かの言いなりではあったかもしれない。 ◆ストーリーに関しての色々 美華は最初から気付いていたようですが、初対面のときから美華のことは好きだったのだと思います。それは単純に一目惚れというか。こんなところにひとりで来ていて、芯の強そうな女の子なので…美華が宗雪を見て一発で気に入ったのと同じ原理かな。尚孝は自分からのアクションというのが本当に少ないです。周りに世話されて漸く縁が繋がるような状況ですね。そういうところが世話し甲斐がある。 不登校組ですけども、彼の場合はどちらかといえば育児に起因していると思います。宗雪にはかなり助けて貰ってるし、彼からの贔屓も受けているけど、自分ではどうも出来ないということを誰よりも簡単に線引きしていそう。贔屓を受けているというのは宗雪にとって都合の良い存在だからというのもありそうです。素直な傘下というか。尚孝が書記をやっているのは、ひとつに不服を言わないこと、もうひとつは自分の意見を言わないからでしょうね。論うのが苦手。宗雪が作った尚孝の居場所が書記という立場だったと思います。尚孝と自分は新人、と尊が言っていますけども、尚孝は育児を始めてから、尊は足を切ってから宗雪が掬い上げた感じです。 尚孝の場合、ストーリーを追うことで関係性が変わったという事象はないのかな。最初から持ってた気持ちを伝えた、ということなので。美華の「滑稽で良かったわ」というのは、貴方のだらしないとこが好きっていう意味ですね。尚孝もそれを受けて、彼女が自分の気持ちを受け入れてくれることを確信しています。此処のやり取りはそういう、通じ合ったというか、利害が一致したというか、そんな場面。あとはもう言うだけなのにすぐには言えない…。此処まで通じ合ってるわけなので、宗雪と英のエンディングでは美華が後ろめたく思ってる描写がありますね。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
尊エピソードを見た方の九割が「上手けりゃええんかい!」と思われてそう。良いんです!色んな情があるし。色んな情が。最初はこの種馬がァ!みたいな台詞もあったけど、種馬って優秀な馬のことなのでは?と思ったのでやめました。 この子はなんだか別の話から来たみたいな、ちょっと毛色の違う感じがしますよね。立ち絵のない人間との関係が多いし。プロット時点ではあんまり良い話じゃないなと思っていたのですが(ほぼ過去の説明になっちゃうし)、調整していくうちにいつの間にか好きになってました。尊からの達樹への感情は、「何をそんなことで悩んでるんだ?」という、他者から見れば小さな悩みであるように描写したつもりです。この子がちょっと恋愛脳というか、恋に恋してるタイプだな、というふうに見てもらえたらいいかなと…。こういう女子いるよねーみたいな。それから、同性愛者であることは「悩み」とか「問題」にはしないようにしました。姉との関係で少し気にしている場面もありますが、そこを大きく問題視するような子ではない(また仲間たちも問題にしない)と思うので。彼の持つ問題というのは、身体違和であるということ、また被虐趣味という点でしょうか。彼は家庭内で「悲劇のヒロイン」を演じたかったけれど、本来そんな性格ではない上、そこまで堪え性があるわけでもなかった。 達樹とはぷらとにっくらしいけど藤樫とは関係があったのだろうか?謎です。まあどちらでも良いか。因みに何故プラトニックラブなのかというと、めんどくさいからです。尊は勘違いしてますけど。達樹に言わせてみれば「騒がれても面倒」「するのも面倒」みたいな、とにかく彼は面倒臭がりなところがあるんですね。だから別に大事にしようとかそんなことは一切考えてないです。連絡が最低限になるのもそういうことです。基本気紛れ。青年版美華だと思ってます。ただ、被写体として好き、ということ意外にも彼本来の性格が気に入ってるようです。キスとかくらいならするみたいだし(これもしないと騒ぐからというのがありそう)。 尊は片足切る前まではもっと背が低かったと思います。養豚された結果。 ◆ストーリーに関しての色々 尊と長々雑談をする場面がありますが、あれは「ゲームのキャラと何気ない雑談とかしてみたい」という個人的な願望から生まれた場面です。それと同時に、お喋り好きな女の子の投影ということもあります。メンチ食う度に尊のことを思い出すようになってしまった。尊は苺が嫌いと言ってますが、千陽は苺が好きらしいですね。まあ千陽とは違って純粋に水っぽいもんが嫌いって言ってるだけなのですけど。 26日の夢を経て、尊の中で弟の存在がそれまでと若干変化してます。それまで捨てとくかなあ、とか言ってた形見を、雑に扱うなと言ってます。また尊エピソードを通ると、「ヘクソカズラ」「蓮華」では尊と出逢います。このとき、彼は小百合さんの影響がなくなって、色々思い出してるみたいですね。美華は彼の姿を見て、独りで歩いていけるようになると考えていますが、これはなんというか、達樹はそこまで重要な存在ではないのかもしれないと感じているということです。尊が「自分」を全部取り戻したとき、もしかしたら彼を不要に思うのではという。実際不要かどうかは本人が決めることなので、三十五十超えても一緒にいるかもしれませんけどね。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます)
少年には、親友が居た。その日も一緒にゲームして、映画のDVDを見て(妻夫木が主演のやつ)、うどん屋に行っていた。忘れもしない、うどん屋でのことである。 親友はそのとき黙っていた。そして急に話し始めたのだった。 「お前、男が好きってほんと?」 何をいきなり言い出すやら。少年は困った顔をした。そしたら、SNSを見たというのである。SNS、確かに近頃そういうものを触っていた。何処から漏れたのかは知らないが、世界のあちこちにいる人間と仲間になれるので、嬉しくなって自身の性癖を開示していたのであった。年上の恋人のことを現実の誰にも話せないので、SNSに綴っていた。 公開していることを否定するのも変だし、まあうん、と答えたのだが、親友から返ってきた言葉というのは、 「俺をそういう目で見ないで欲しい」 だった。 見とらんわ! 逆にお前なんか気持ち悪いよそんなの! 少年はそう思ったものの、当たり前じゃんくらいに言葉を濁して愛想笑いをしていた。ところがその日を皮切りに、親友は連絡を断ったのである。 いや。いやいや。お前休み時間も昼飯も遠足も修学旅行も全部一緒だったじゃん。何をそんなことで。少年はかなり愕然としていた。人間ってこんなに薄情なの? 今の世の中って、同性愛者には優しくなったと思ってた。実際蓋開けたらこれ? 親友というポジションがいきなり空白になり、時が流れた。奴のSNSでは、結婚した、というツイートを見た。なるほど、SNSって意外と誰でも目にするんだなと思っているうち、今度は子どもが出来ていた。幸せそうな写真ばかり。 みんな、彼と親友はまだ友達だと思っている。なので、結婚したんだよねとか、子ども産まれたんだよねとか、結婚式行った? とか。そんなことを尋ねてくる。知らないよ。SNSで見ただけだよ。祝うことも出来ないよ。 なんだか世界から爪弾きにされたようだった。結婚。いいな。僕も誰かのものになりたい。可愛がられて眠りたい。恋人から別れを仄めかすメールが届く。どうして? 今度こそ幸せになれると思ったのに。本当に、愛してくれると信じたのに。みんな嫌いだ。僕を受け入れてくれないこの世界が嫌い。誰か僕を必要として。 彼の母は、テレビを見て、LGBT差別なんて時代遅れだと言っている。息子のことを知ってもそんなことが言えるだろうか。孫が見たくはないのだろうか。もうこんなことをニュースなんかで取り上げるのをやめてほしい。もしくは、明日が来なければいい。誰かの幸せなんて、もう二度と見たくない。普通の恋。普通の恋が、羨ましい。普通の恋をしているつもりだったのに。 (「田園掌編」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
人の母親を寝取ろうとするな。千陽に苺出せるひとは居るんでしょうか。恐らくそんなに居ないから刺身以上になりてえ〜〜とか言ってるんでしょうね。五千円でいいですよ、が常套句なんでしょう。お値打ち品。 このひとに関しては、途中から妙な性格が出て来たので、繊細だの儚いだの書いてあった文章をゴリゴリに削りました。繊細さを没収される野太さ。まず声がでかい。下ネタ担当大臣と化していますが、女の子にはあんまりセクハラしません。そういうことすると総スカン食らうというのが判ってるからですね。 そういえば、初期の段階では宗雪の親友ポジションは千陽でした。そして最後には集落を出てっちゃう奴だった。最後に檻の中の宗雪に会いに来て無情に去る場面まで想定していたのですけど、話を書いていくうちにこの子は集落を捨てられるとは思えないと考え直しまして…。そして貧乏くじマンになるのですね…。完結作でも貧乏くじ引いていきます。 自分は千陽を準主人公だと思っています。他の子とはちょっと立ち位置が違うというのもあるし。 そして恐らく恋愛対象が女とか男とかではなく「あざみ」なので、別に誰とでも絡めるのでしょうね。ほかは全部一緒というか。あざみが年上の女性だから年上の女性が好きというわけでもないと思います。そこは別問題。おはD。 ほかは全部一緒と言いつつ、何やら年下の世話は焼きたいようで。尚孝と尊は唯一年下というのもあるし。まあでも、尊のことを嫌いでうざったく思っているのは本当だと思います。憂さ晴らしというのも。ただいつも涙目敗走しているので、途中からいじめる相手を英に切り替えてますね。因みに英に引き摺られていったあとは殴られたわけじゃなく、「いずれ仏門に入るから別に大丈夫」レベルの言い訳を延々と聞かされていたのではと思ってます。そして「まじかこいつ……」って顔してそう。 ◆ストーリーに関しての色々 前半はかなりおとなしいですね、何だか不思議な雰囲気の子でナビキャラみたいな感じ。あとはあざみのこと好きなんだな、くらいの。 尊エピソードを通過すると、現状に鬱屈した感情を持っていることが判ります(あと弓弦に対して狡いと思っている)。小町エピソード通ると此処らへんが判らないので、ただの世話好きみたいに見えますね笑 千陽は終盤に差し掛かると色々話し始めますが、基本的には完結作に続く設定を語っている部分が多いです。鵺の記事にあった「茅原某」というのが千陽の言う<彼>のことです。前生では西の屋敷に生まれた男だった様子。彼は犬の儀の手伝いに選ばれなかったので、普段通りに牛の放牧を眺めたりしていた、という感じですね。 怪我させられても怒らないのは彼の性格からだと思います。外的な何かをされても特に揺り動かされることはない性質というか。内的なことは他の人と同様に脆そうですが。 ところで、千陽は恐らく移動方法が他の人とは違っているのでしょうね。夢に入り込めたり、壇蛇羅跡へ行けたり、宗雪と出会わなければおかしい場面で出会っていなかったり。もしかすると暗躍している千陽っていうのは何かの概念なのかもしれない。 美華が帰ったあと、怪我しつつも尚孝や尊の様子を見て、弓弦の手助けもして、神楽も覚えて、宗雪とも遊んであげて、あざみとも過ごして、仕事もしてるのかな。大忙し…。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます)
少年はその日、初めて女性と寝ることになった。十個以上歳上で幼い子どもがひとりいる女性だった。旦那さんとは別れたらしい。 彼女は、少年をホテルに連れ出した。それから、一ばん高価な部屋を選んだ。中は広く、カラオケもあるし、バーカウンターもあるし、マッサージチェアもあった。ベッドに目をやるのが恥ずかしく暫くそれらで遊ぶ振りをしていたが、やがて焦れたように引っ張り込まれ、ベッドの上で触り合っていた。寝転がされていたのは何故だか自分で、衣服も剥ぎ取られる。そしていずれは、見様見真似で色々した。 不意に、何かを着せられた。女性は衣装を着せようとするのだが、あまりにも動きづらく、少年は怒ってそれを脱ぎ捨てた。すると彼女はおかしそうに笑う。彼女はどうやら、少年のひとつひとつの動きが面白くて仕方がないらしいのだ。 暗がりで暫く気付かなかったが、ふと自分の手を見ると真っ赤だった。なんだこれは! そしてよくよく考えてみれば、爪を切るのを忘れていた。彼女は下着血だらけだった、と言った。少年は初めてなんだから勝手が判らない、当然だと怒ってしまった。 「違うよ、責めてるんじゃないよ」 女性はそう言って笑った。少年には初めてのことばかりで、それに直面するとパニックが起こってしまって、ついムキになって怒ってしまう。けれど女性はそれをすべて許した。 家に招待された。小学校から帰宅した子どもと遊んであげているうちに(初めてやるゲームだったが元来の負けず嫌いで負けるわけにはいかなかった)、夕飯が出て来た(魚介類だった)。それにバレンタインが近いからというのでカップケーキもくれた。少年は帰りたくないと思い、二日泊まることにした。子どもが寝静まった後、眠たくて横になっていたけれど、女性が下着に手を入れるので眠ることが出来なかった。少年は不機嫌だった。そのはずなのに、いつの間にか声が漏れている。隣の部屋で子どもが寝ているけれど、それを抑えることが出来なかった。翌日、自分の下着に顔を押し付けている姿を見た。あれはやめてほしい。 さて、帰らなければならない。玄関先で、少年は泣いてしまっていた。つらい現実との境目に思えた。色褪せた日常を恐ろしく感じていた。すると彼女は家の中に引き込んで、少年が泣き止むまで深く口付けて、舌を絡める。不機嫌そうに「これから帰るのに、べたべたになった」というのを、対照的な笑顔で見送るのだった。 彼女は……彼女はなぜ笑顔なのだろう? 僕との別れがつらくないのだろうか。二度と会えなくても構わないのだろうか。道を歩きながら、握らされた幾つかの紙を見下ろして、また泣いている自分に気が付いた。……誰かに必要とされたい。もっと。出来るなら歳上の女性がいい。母親のように、愛情を注いで欲しいから。 (「田園掌編」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
彼女の素性が判るのって、たぶん儀の日なんですよね。それまではドライな素振りをしていた五十鈴なんですが、実は美華と同じように集落を徘徊して、みんなに手を差し伸べる役目をしてたんですね…。だから美華は本当に成り代わったような感じになったのだと思います。宗雪が神か母親のようと言っていたのもこういうことなのでは。というかこの無料通話文化の無さそうな場所で長電話してくれる相手がいるって凄い。別の場所でも宗雪は五十鈴のことを「神」と呼んでいますね。宗雪にとっては五十鈴が憧れのひとだったのかもしれません。救出者として。因みに茜が演じていた彼らの言葉というのは本当のこと、と捉えて頂いて大丈夫です。 美華は五十鈴の優しいところだけを見たかったので、この夏は五十鈴についてあまり知ろうとはしませんでした。外のいざこざには首を突っ込んでいきますが、内のいざこざは見ないように努めた、という感じ。だからこの話の最後は変えられないのかも。 ところでトゥルーエンドでは彼女に異変があったことが示唆されていますね。そこのところも完結作で書いていく予定です。 ◆ストーリーに関しての色々 五十鈴の様子が少し変わってくるのは、やっぱり弓弦が木槿を美華に渡すところくらいからでしょうか。それまであっけらかんとしていた五十鈴が、急に皮肉めいたことを漏らしたり。 小町エピソードでも、ちょっと小町にバチバチしてるところありますね。弓弦が絡むとちょっとおこになるのでしょう可愛い。タイトル画面で五十鈴が木槿を引き抜こうとしているのもそういう気持ちがあると思っています。それを振り切ろうとしているのだろうなとは…五十鈴目線の話がないから此処はこうです! とは言えないけど、彼女は弓弦のことをめちゃくちゃ好きなんでしょう! ね! それだけは確実に言える。い…五十鈴ー! 幸せになってくれ女子が多過ぎる。 そういえば、犬の儀を行うことはみんな当たり前だと思っている、という下りが何度かありますが、それは身分差というのもあるでしょうね。みんな貧乏でじりじり生きてるけど、あそこは金回りがいい、でも代わりに女の子を差し出している…みたいな。それで集落の平和と調和が取れているのだから等価なのだと。この役目があるからこそ周りから忌まれないで金持ちをやれているところもあると思います。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
書き始めたときは、宗雪と似てるかなと思っていたけれど(一人称が唯一俺の二人組だし)、書き終わってみれば正反対の位置に居ることが判りました。巨悪と刺し違えて死にたい奴と、地球で最後のひとりになっても生きたい奴。弓弦はかなり自分主義的な人間だけど、それが良さだと思っています。共感出来る部分がかなりあるし、自分主義だからこそ、誰かの弱さを判り合えるという面もあるかと。 彼はぶっきらぼうで、みんなに好かれている宗雪にも真正面から悪口言いますが、実際嫌いなわけではないのだと思います。嫌いだったら授業そっちのけで宗雪のこと見てたりしないでしょうし、小姑みたいにもならないでしょうね。宗雪は弓弦が自分を嫌っていると思っているから、カウンターで弓弦を嫌っているのですけど、実際はそうじゃないんですよね。弓弦が小言を言うっていうのは愛情の裏返しなところもあります。正直此処の関わり合いの不通はかなり損をこいてるのじゃないかと感じます。 弓弦の問題というのは、彼の考えている居場所が妹を庇護している自分であるのじゃないかと。集落民は各々に居場所を求めている、なんて話がありましたが、弓弦にとってはそれが「兄」という居場所だったのかな。本当は怖がりで、でかい家をひとりで続けて行かなければならない重圧もあって。妹がいるから虚勢を張れる人間というか。元来、あまり心の強くないひとなのでしょう。守るものがないと何処にも動けないような。泡メンタルだから色々言ったあとに「今の言い過ぎたかな…(・_・)」とか悩んでそう。 五十鈴のことを差っ引くと、弓弦は「良い人」なのだと思います。同年代にも好かれていたでしょうし、年上にも可愛がられたでしょうし、小町みたいな年下にも懐かれますし、年配のひとも助けられていたのでは。でもその態度のすべてが「兄像」というのか、こうあるべきという指針の体現というか。基本的に常識はあるひとだと思います。年上には必ず「さん」を付けて呼んでるし。あざみさん、菰田さん。それが五十鈴のことになると突然ヒスになるもんだから周りも困ってるのでしょうね。これさえなければ…みたいな。何をしても良いことばかりだから、悪いところが悪目立ちしている…。 美華に対しての態度というのは、かなり揺れてるとは思います。弓弦にとっては、兄貴面出来る美華という存在は大事です。五十鈴は非常に達観していて、世話をする部分が少ない。混同したことはないとは言ってますけど果たしてそれが本当なのかどうか。弓弦にとって二人の存在というのは天秤に掛けられないものだとは思っています。愛情のカテゴリが違うと言いますか。小町に関しては美華寄りの愛情も少しはありそうですね。関わりたくないとは言ってますけど、自分から関わってますし。 ◆ストーリーに関しての色々 冒頭で話している弓弦というのは、20歳超えてるんですよね。あれが2020年の9月を想定している場面だからです。彼が自ら五十鈴を忘れたのか、外的な何かによって忘れていくのか、それは此処で定かにしなくても良いと思っています。これについては後々纏めますが、弓弦は寄合所に託児されてるわけですね。というのも、あざみや千陽や五十鈴の誰かが彼を見守ることが出来るというのもあります。何も出来ない弓弦が、あざみのするご祈祷の声などを静かに隅で聞いている状態がトゥルーエンドの続きだと思っています。世話役の美華がいないので。 序盤ですが、山道を上がっている間に、彼女が後ろを付いて来ているという状況で心変わりしたのだと思います。五十鈴の代わりに儀をやらせようとしたわけではなくて、美華の姿を見て、五十鈴が消えたあとのことをもう考え始めちゃったわけです。恐らく彼の心の中には、寂しさを紛らわすために成り代わって欲しいという弱い気持ちがあるにはあるけど、五十鈴がいなくなること自体が一番耐え難いことなのだと。そこからは、お互いに少しずつ記憶の扉を開けているような。ビデオを見たり、美華と話したりしていくうちに、美華を庇護していたときの自分の有り様も思い出して行ったのですね。 五十鈴の素性は儀の日に明かされますが、それを隣で見ていたのが弓弦でした。五十鈴が神や魂に献身的であり、自分を殺しているように見えていて、それが余計に反発を強めているのだと思います。 エンディングの弓弦は、何だか気の抜けた印象です。憑き物が落ちたようとは言われてますが。これは何というか、彼は色々考え込んでいて、まだ感情を表出する場面に行き着いてない感じです。怒ったら良いのか、笑ったら良いのか、何だか振る舞い方が判らない。この期に及んでまだ考えることがあるのか、という感じですが、弓弦はかなりあれこれ考える性質なのだと思います。ひとつのことに関して無限に考えて悩むたいぷ。一口に言うと繊細ってやつですね。判らないから全部引っ込めているという極端な態度です。感情に振れ幅が付けられなくて、消極的にしか動いてない。 そして「木槿」の彼ですが。美華に謝ってるのはかなり意味深長。これは弓弦も美華を選んで、そういう態度をしてきている、そしてお互いにそれを認識しているというのが前提ということです…。美華を選んでおきながら、五十鈴のことも話してしまうところに、不甲斐なさとか女々しさを自分で感じてるわけですね。 ところで、柚子っていうのは美華の好きな果物です。尊エピソードに出て来ます。過去に(五十鈴の好きな)すだちを切っていた弓弦が、柚子を搾りたいと言っているのも、美華に寄せた気持ちなんでしょうね。美華のために何かしたいということだと思います。「木槿」の弓弦というのは、「美華を選びたい」という気持ちが少なからずあると思います。彼の愛情の箍が外れたとき、傾倒していく速度は凄そう。でも英ほどじゃないかもしれない笑 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます)
少年は、母と妹のするのを、少し遠くから眺めていた。押し花を作るというので、家の周りを歩き回って……色んな花を千切り取っている。当然ながら興味は無かった。集め終わった二人は図鑑で、花の名前を調べた。そうして、拾った石の名前を調べた。どうしてこういうことに興味が持てるのだろう。少年はその姿を横目に見ながら、不思議に思っている。 夏休みの間は、図書館に花の先生が来るらしい。それで、判らない花を持って行って、何の花かを見てもらう。自分はそれに興味がなかったので、少年はニュースを見て、様子を知った。 大きなファイル。二人はそれに、ひとつずつ押し花のページを作った。 「ヘクソカズラ? 何これ?」 変な名前だ。少年はぺしゃんこになった花を指差して言った。 「臭いからね」 母は面白がって言った。他の花を幾らか見てみたが、ほかに気になるものはなかった。何しろ野花ばかりなので、派手でもないし、淡い色ばかりで。違いすら判らなかった。 あれから数年経って、少年はいつの間にやら花を生けることを覚えていた。というのも、何かの拍子に花を生けてみたら、先生に褒められたからだった。いよいよ興味が出て花を調べたいと思うが、妹はもう野花に興味はない。店で綺麗に包まれたブーケを買って、眺めるばかりだ。…… (「田園掌編」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
恐らく、集落内で一番身分の高い存在になるのがあざみです。四歳の頃から大人が丁寧な言葉を使って会話してます。 彼女は今後、ご祈祷によって住民からの相談を解決したり、神託を話したりします(イメージ的にはユタみたいな感じ)。また五十鈴も神に近い存在となったので、あざみが仲介をしています。彼女にとっては子どものするお遊戯やごっこ遊びのように感じているところもあるかと思いますが、今後何十年とあのままで過ごすことになりそう。五十鈴とは友達だと思っているのでお世話も苦ではないとは思うけど。 あざみが千陽に対して抱いている感情というのは、幼稚園生の言う「好きな子」というものに近しいのかもしれません。多分これから先も変わることはないのだろうけど、何かの拍子があれば、尊の言うようにいずれ気付く日が来る…のかも…? この子は最後まで悪者をやらせるか悩んでましたが、結局普通に良い子で終わりましたね。というかもはや全員善人の逆アウトレイジだと思っているので、このゲームは畜生プレイが出来ないひとにお勧めかもしれない(?)。 ところであざみのアイキャッチですが、これは時間軸が後のものになっています。これについては後述します。アイキャッチでは弓弦ばんばん叩いてますけど、これは弓弦に話し掛けるときはみんな「お前に話しとるんやぞ」という意味でちょっと触るようにしてるんですね。そうでなくてもあざみはボディタッチが多そうな気がしますが。 ◆ストーリーに関しての色々 家族以外で初めて出会う住民ですね。はたちです! 研究会では最年長。登場箇所はそこまで多いわけではありませんが、かなりインパクトのある子なんじゃないかと。尊エピソードを通過しなかったらなかなか会えないですね。千陽はあざみの言うことは信じてない、的なことを言ってましたが、それも道理なんじゃないかな。人間、殊に子どもは気紛れなので……。まあ千陽の場合は、こういうことを言ってシールド張りたいのでしょうけど。 泣いている千陽を宥めている場面、結構あっけらかんと書いたつもりなのですが、どうでしょう…。人間には「ライフステージ」という言葉があるのですけれど、あざみの場合はそこへステップアップしていないイメージです。これに関しては尊も似たようなことを言えるのかもしれない。普通は学校等へ行って人間関係を経て成長していくのが、そこがプレーンな状態というか。だからあんまり人の気持ちに寄せた会話が出来ないというのも、蛇の儀以外の要因としてあると思います。あざみに関しては恐らく箱入り娘状態でしょうし。 あざみが一番役割を果たしているのが犬の儀の日ですね。弓弦は五十鈴と話してるつもりなのに、実際喋ってるのはあざみで、本当の五十鈴の表情は見えない…。でも翌日の様子を見ると、恐らくあざみは五十鈴と同じ表情をしている筈。 エピローグにおけるあざみは弓弦の代わりに鈴生を追い出していますが、言わずもがな弓弦にはこれが出来ないので、あざみがやってますね。このときのあざみの態度、きっと集落民に対するものと違うと思うのです。結構無慈悲にバンッと閉めますよね。あざみにもソトのひと苦手、という意識はあるのだと思います。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます) |
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◆人物像について
登場人物の中では唯一サブキャラクタの位置として置いた子なのですが、作り終えてみるとそこまで存在が希薄なわけでもなく。寧ろ色々教えてくれるキーパーソンになりました。大凶よりはマシってくらいです、とか美華レベルに真正面から言う子…。宗雪にもバッサリ言います。たぶん菊乃は普段からこういう感じなのだと思います。ある意味ムードメーカーなのかな…学校でもうまくやっているという話でしたね。 クールな子かと思いきや、なーんもない自分がつまらんという、結構俗っぽい? ところもあり。知りたがり度数も美華くらい強そう。千陽とは仲が良いみたいですね。まあ此方は普通に友人関係なのだと思います。 小町を名字で呼ぶ唯一の子です。恐らく小町でいいよ! って尚孝みたいに言われた筈ですが、いえ、先輩なので…なんて断ってそうですね。菊乃は基本的には名字呼びです。尚孝も割りとジャニーズ呼びですけど。 ◆ストーリーに関しての色々 彼女は鵺札というものを持っていますが、恐らくこれは西の屋敷に伝わっている道具で、本来ならあざみが使うようなシャーマン用品なのだと思います。あざみが軽々しく貸したのだと思いますが、本人も大事に使っているので問題はない…かな… 鵺札は集落民の魂を見る道具なので犬猫なら普通に占えるのでしょうが、黒猫は神出鬼没な霊体のようで、「今どこにいるか」を占うことはあまり意味のないことなので断った…ということです。恐らく普通の猫なら占ってくれます。 今後は姉の仕事を眺めつつ、お勉強頑張るのかな。しっかり者なのでこの子はあんまり心配要らなさそう。 (「キャラクター制作コメント」クリックで折り畳みます) |
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「ヘクソカズラ」においては、本編(2019年8月)の時間軸と、「08月02日アイキャッチ→オープニング→エピローグ」(2020年9月)の時間軸のふたつがあります。次回作はこのエピローグの続きで、フィールドワークにやって来た民俗学ゼミの学生「蕗屋鈴生」を主人公にして展開します。
ヘクソカズラからの設定として、 ・「猿喰」という場所について ・作中で明言されたある村との類似性について ・08月19日に見開きで現れた雑誌の内容について(特に「巳子伝説」と「ヒメ漁伝説」の類似性について) ・赤座山における魂の循環 ・茜を誑かしたもの ・ED01「ヘクソカズラ」までの経緯 以上のような設定を回収する予定です。また引き続き宜しくお願い致します。 尚、同じ設定での続編は此方の次回作で完結する予定です。 (「設定:次回作「猿喰キッド」への穴埋め」クリックで折り畳みます) |




























